百か事典

心に成瀬を飼いたい|宮島未奈「成瀬は天下を取りにいく」

心に成瀬を飼いたい|宮島未奈「成瀬は天下を取りにいく」

2024.03.07

#小説

書名:成瀬は天下を取りにいく
著者:宮島未奈
出版:2023年3月17日・株式会社新潮社
ページ数:193頁
好き:★★★★★
こんな人におすすめ:滋賀県在住の人、他県在住の人、穏やかな物語を読みたい人

どんな本?

舞台は滋賀県。主人公・成瀬あかりが「わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」と友人に宣言するところから物語は始まる。西武に捧げた夏休み、突然のM-1グランプリ出場、高校入学と同時に丸刈り。あれもこれも、成瀬あかり史に名を残すであろう出来事ばかり!
滋賀県民はもちろん、他県民もご心配なく。置いてけぼりにはなりません。初めから終わりまで、ほっこりとした気持ちで読める青春小説。読んだあと、昔の友人に連絡をとりたくなるかも。

読んだきっかけ

人が死ななそうな話だったから。
あと、帯メンバーが錚々たる顔ぶれだったので。

感想

いや、滋賀ネタ多すぎだろ!!!

ひとつも分からない他県民だけれど、それでもなんだか面白い。
自分も滋賀県民であるかのような感覚にまでなる。
内輪ネタで終わらないのがすごい。あっぱれ。

成瀬のようになりたいな、と思った。
いや、まんま成瀬だとそれはそれで大変そうだから、マインドだけ取り入れたい。マイペースなところとか、実直なところとか、他人に興味なさそうなのに困っている人を見かけたら真っ先に助けるところとか。

そんな成瀬のような、清く、正しく、強い女になりたい。自分で自分のことが嫌になったときは、成瀬を少しだけ降ろして自分を守ってあげたい。成瀬成瀬うるさいな。成瀬のこと好きすぎかよ。そうだよ。

友人の島崎、恋心を抱かれる中橋、など成瀬を取り巻く人々も、なんだかんだ癖が強い。成瀬がぶっ飛んでいるように見せかけて、実はみんな、他人からみたらおかしなところあるんだよ、って気づかせてくれる話なのかも。と深読みしたりしている。

新しい青春小説、的なコメントがあった気がする。確かに小説としては、新しい形なのかもしれない(知らんけど)。でも、受け取った感覚は懐かしさだった。こういう学生生活、送ったことあるって感じ。いや、もちろん、こんなに突飛なことはしていないのですが。

一番好きな話は「膳所から来ました」!でも最終話の「ときめき江州音頭」も好き。選べない。どれもいい。