百か事典

私は私の大根を切ります|くどうれいん「桃を煮るひと」

私は私の大根を切ります|くどうれいん「桃を煮るひと」

2024.03.12

#エッセイ

書名:桃を煮るひと
著者:くどうれいん
出版:2023年6月14日・株式会社ミシマ社
ページ数:136頁
リンクhttps://amzn.asia/d/iPIPAnF

好き:★★★★★
こんな人におすすめ:食にこだわりがある人、ひとりご飯できない人

どんな本?

歌人としても活動している作家・くどうれいんのエッセイ集。
「食へのこだわりは強くない」と言いつつ、読んでみるとやっぱり強いように感じる。さすがくどうさん。食の描写がどれも鮮やかで、目から栄養を摂取しているような気分に。
くすりと笑えて、でもどこか共感できる、そんな食に関する話が詰め込まれた一冊。

読んだきっかけ

表紙のデザインと質感が好みだったから。
あと、たまたま開いたページの中華屋さんに行った時の描写が突き刺さったから。

感想

くどうさんは、ひとりご飯ができないらしい。

私はひとりでの外食に全く抵抗がない。私の周りもひとり行動大好き派ばかりなので、苦手な人について考えたことがなかった。

ひとりで注文を待っている時、何をしたらいいか分からなくなるらしい。ほお。考えたこともなかった。いつも何してるっけ。本読んだり、ぼけーっとメニュー見たり、テレビ見たりしてるかも。ここに関しては全く共感できず。

でも「わたしはあくまで消費者同士で感動したい。」という文章にはとても共感した。それは分かる。ひとりで食べる時、「美味しい〜!」とか「これって〇〇かな?」とか、口に出すことができない。まあひとりなので。いや、言ってもいいんだろうけど、私にはその勇気はない。

美味しいものを食べた時の感動を、思いっきり伝え合いながら食べたい。誰かと食べたいけれど、それは誰でもいいわけではなくて。思いっきり美味しいね!と伝え合える人たちと、美味しいものを食べに行きたい。自分の感情を余すことなく伝えることができる相手と。それはね、すごく分かるなあ〜と思った。

特に好きな話は「大根の面取り」。

「丁寧な暮らし」。最近よく聞く、そしてよく敬遠される言葉、。

丁寧な暮らしは、それを羨む人から嘲笑の対象にされやすい。部屋をきれいに整えて、花を飾るだけでも対象になる。お弁当を作って持っていくだけで偉いと言われる。知るか。これが私の生活スタイルなんだよ、と思いながら、そんなコメントにヘラヘラしていた。あ、私は花は飾らない人間ですが。

でも、丁寧な暮らしの定義ってなに?あの人たちは、ただ自分の生活を楽しんでいるだけだよね。私も自分の生活に向き合っているよね。だったらそれで十分じゃん。人の暮らしにケチつける権利、誰も持ってないからね。

という気持ちにさせてくれたこの話。

私も私の大根を切ろうと思う。